トップ > お役立ち情報TOP > 家庭の医学 > 遺伝子は生命の維持をもコントロールしていますが寿命には逆らえないようです

遺伝子は生命の維持をもコントロールしていますが寿命には逆らえないようです

遺伝子は自らの遺伝情報を次の世代に伝えるために最大限の努力を払います

遺伝子というとヒトの遺伝にかかわっていて、親から子、子から孫へとヒトとしての形質を伝えて行く事が役割だと考えられています。確かに遺伝子は、自らが持つ遺伝情報を次の世代に効率よくかつより多く渡すという事を第一の目的としています。

遺伝子の働きは、自らの遺伝情報を次の世代に渡すだけであれば、生殖年齢に達して生殖に成功すればそれで終了という事になるわけで、生物によっては生殖を果たすと死んでしまうものもあります。ところがヒトの場合は生殖に成功しても出生するまでおよそ40週かかり、そして、生まれた児が歩行が可能となるまで約1年、生殖年齢に達するまで10年以上かかりますので、ヒトの遺伝子の働きは生殖が成功したら生命を終わらせるという仕組みにはなっていません。

ヒトの遺伝子は自らの遺伝情報を次の世代に引き継ぎ、さらにその次の世代が引き継ぐ事を確実にし、その伝達を確かめるために最大限の努力をするようになっています。そのためにヒトが生まれて死ぬまでの間では、遺伝子はヒトの生命を維持できるように最大限の努力をしています。これは自らの遺伝情報を守るという最大の目的を実現するためですが、この遺伝子の働きがヒトの生命を維持し寿命を長くしていることに要因の一つとなっていると思われます。

ヒトの細胞は遺伝子により分裂の動作、能力を操作されながら寿命を迎えます

遺伝子は自らの遺伝情報を守るために最大限の努力をしています。ヒトが生まれるまでの間は、2つの細胞から胎芽、胎児と細胞分裂を行いながらヒトとしての形態を作り機能を発現させます。胎児から新生児となると遺伝子は細胞分裂を行わない細胞、分裂を盛んに行う細胞や必要に応じて分裂を起こすことが出来る細胞など、細胞にヒトの器官や機能によって様々な分裂の能力を持たせ、さらに細胞の分裂の動作をもコントロールします。

ヒトの細胞は分裂できる能力に限度があり、胎児の細胞を取り出し試験管上で分裂回数を確かめると約50回で分裂が止まってしまいます。この分裂能力の限界を発見者の名を取って「ヘイフリックの限界」と呼びます。ヘイフリックの限界と生物の種ごとの寿命との間には正の相関があるという事がわかっています。

分裂が可能な細胞の分裂回数は加齢によって減少して行き、分裂能力の限界に至ってしまった細胞を老化細胞、分裂能力の限界に至った状態を細胞の老化と言います。健康な細胞であれば遺伝子の働きにより分裂を繰り返したり、分裂を止めていたりしますが、遺伝子もヘイフリックの限界には従いヒトは寿命を迎えるのです。

癌は細胞の幼弱化による細胞分裂が制御不能となった状態のことです

疾病や外傷、汚染など細胞自身が損傷を受けた場合には、遺伝子に影響がなければまず細胞の修復を行おうと遺伝子は働きます。しかし、修復が困難であると判断されると、遺伝子はその損傷の程度によってその細胞を排除するか、分裂を止めてそのまま存置させるという働きをします。

しかし、疾病や汚染、老化などで遺伝子自体が損傷したり機能が低下している場合には、細胞の増殖や修復を正常に行う事が出来なくなってしまいます。癌は遺伝子の損傷や機能低下により遺伝子が細胞への増殖や抑制のコントロールが出来なくなり、細胞の分裂能力に異常が生じてしまい細胞の幼弱化が起きることが原因と考えられます。

細胞の老化は、損傷を受けた細胞が異常な増殖を始めて周辺の健康な細胞に影響を及ぼさないために、遺伝子が細胞を制御する生命維持には必要な仕組みです。ヒトの身体という事で考えれば、老化というのは好ましいとは思えない現象ですが、細胞レベルで考えると生命維持には欠かせない現象と言えます。ヒトは細胞が幼弱化せず正常な状態で加齢して行き、無事にヘイフリックの限界に達することで寿命を全うしたと言えるのでしょう。



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
なぜ老化は起きるのでしょうか
遺伝子は生命の維持をもコントロールしていますが寿命には逆らえないようです
ホルモン分泌の減少と老化との関係はとても強いものです
老化は加齢の過程で生じる負の変化です
日本の健康寿命は3種類あるのをご存じでしたか
正しい手洗いをして感染症を予防しましょう
味覚障害が「うつ病」によって起こる!?
こころの風邪「うつ病」をかんたんにチェックする方法を紹介します
「寛解」のときにも「抗うつ薬」を継続して「断薬・退薬反応」を回避しよう!
うつ病を適切に理解するために「症状」について知っておこう

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。