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老年期には4種類の喪失体験があるとされています

老年期の喪失体験は、体力や心身機能の低下などによる≪心身の健康≫の喪失。子どもの自立や定年、退職、引退、配偶者や友人との死別などによる≪家族や社会とのつながり≫の喪失。定年、退職、引退などによる≪経済的自立≫の喪失。社会的地位や役割などを終えたり失うことによる≪生きる目的≫の喪失の4つがあるとされています。

喪失を体験することによって、【悲しみ】、【衝撃と無感動】、【否認】、【怒りと敵意】、【罪悪感と後悔】、【孤独感と抑うつ】、【緊張】、【精神的混乱】、【あきらめ】、【活動性の亢進】、【新しいアイデンティティの確立】などの悲嘆反応が生じることがあります。

喪失体験に対する適応については、ストレスに対する対処方法であるコーピング・スタイル(Coping style)として、5つの型に分類されています。

Ⅰ.成熟型(自適型):自分の過去と現在を受容し、自尊心を失わず、引退後も積極的な社会生活を営み 続けようと努力する。

Ⅱ.ロッキングチェア・マン型(隠遁依存型):引退後にこれといった強い希望を持たず、悠々自適を楽しみ、 他人の援助や支持を当てにしている。

Ⅲ.装甲型(自己防衛型):精力的に活躍することで老いの恐怖に対抗・防衛しようとするが、老いに対する正しい理解に欠けている。若者をねたむ。

Ⅳ.憤慨型(外罰型):自分が老いる現実を受容できず否定的な態度を取り、隠退になどによるわが身の不遇を他人のせいにして、非難、攻撃、敵意、恨みなど示す。

Ⅴ.自己嫌悪型(内罰型):自分を人生の敗北者とみなし、悲観的で孤独である。死こそ現在の惨めさからの解放であると考えている。

喪失を体験することは、4つのストレッサーに対するストレス反応として、悲嘆反応が生じることになります。ストレス反応に対する適応には、5つの種類があるとされていますが、ストレス状態への適応・対処には、ストレス耐性が大きくかかわっていると考えられます。

ストレッサーに対するストレス耐性に従って、人それぞれのコーピング・スタイルが現れます。ストレスの適応が、自己の尊厳を守りながら喪失の体験を受容し、自律した生活を送ることが出来るようなものになるような、ストレス耐性を得ることが望ましいと思われます。



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