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尿意や便意が感じられる、自然な生活を取り戻すために

おむつ着用の生活が長いと、便意や尿意を感じられなくなる!?
人間は、生命活動を行っている以上、尿意や便意がなくなるということはありません。下半身マヒや四肢マヒなどがない限りあり得ないことなのですが、高齢者の中には尿意や便意を失ってしまう人がいます。それは何故なのでしょうか?

病院や老人ホームなどでおむつを使用するようになりますと、決められた時間に行うおむつ交換だけで排泄を処理することになり、高齢者自身がもよおす尿意や便意を気にかけられることがなくなります。すると、せっかく尿意や便意をもよおしてもトイレに行く機会だけでなく、トイレに行く気力さえ失ってしまうのです。

200年近く前、南フランスのアヴェロンという森で一人の少年が野生児として発見されました。保護当時11~12歳と見られたその少年は、感覚が動物とほぼ同じ。自然下での生活に必要な感覚だけが研ぎ澄まされた結果、その他の感覚は鈍感になっていったそうです。これぞまさに、おむつを使う高齢者と同じこと。ずっとおむつを使っていることで、尿意や便意、皮ふの感覚が失われてしまうのです。

からだのマヒをはじめ、急性期や終末期を除いては、いくら高齢者といえどもトイレで排泄できるはず。本人が“生きている”という実感を得られるだけでなく、介護の負担も軽減されるはずですので、一人一人に合った排泄ケアを行うことが大切です。

尿意を感じられなくなるのは、マヒの場合だけ
高齢者になりますと、自分の意識や感覚を上手に伝えられなくなるケースもありますが、尿意や便意がなくなっているわけではありません。例えば認知症高齢者では、本人が尿意や便意を感じているにもかかわらず、家族や介護者がそれを感じ取ってあげられないために、トイレまで誘導できないことがあります。また、老化によって尿道括約筋が衰えて、いわゆる“おもらし”をすることがあったとしても、そのとき本人は尿意を感じているはずです。

脳卒中によって片マヒを起こしている人でも、膀胱や直腸の感覚までがマヒすることはありません。また、パーキンソン病によって感覚神経が鈍くなっているとしても、同様。こうした人の場合は、確かにすぐにトイレに行くことができずに“おもらし”してしまうことはあります。そうした場合、それを尿意や便意の喪失と勘違いされることで、おむつの着用という措置をとられることがありますが、最初に説明した通り、おむつの着用によって尿意や便意が喪失されることがあると考えますと、その措置は負の連鎖と言っても過言ではありません。

尿意や便意、さらに皮ふの感覚までが喪失されるのは、下半身マヒや四肢マヒの場合だけ。ただし、下腹部に張りを感じたり、頭が重く感じたりなど、「代償尿意」「代償便意」といった感覚が生まれることもあります。そう考えますと、要介護者を注意深く観察して、一人一人に合った排泄ケアを行うことがいかに大切かということが分かりますね。

おむつ要らずの生活に戻すための7つのステップ
 長期間にわたっておむつを着用していたことによって尿意や便意・皮ふの感覚が失われてしまったとしても、その感覚は取り戻すことができます。そのためには、本人の状態によっていくつかの段階を踏む必要がありますので、そのひとつひとつを説明していきましょう。

ステップ1
おむつが濡れているかどうかの感覚がない

ステップ2
おむつが濡れているという感覚がある

ステップ3
 おむつが濡れていると伝えられるが、その時点でおしっこが冷たくなっている

ステップ4
おしっこをしてすぐに、おむつが濡れていると伝えられる

ステップ5
ときどき、おしっこをする前に尿意を伝えられる

ステップ6
ほとんど、おしっこをする前に尿意を伝えられる

ステップ7
毎回、おしっこをする前に尿意を伝えられる

ステップ1・2の段階では、皮ふの感覚云々というよりも、それを自発的に伝えられないということが問題です。なるべく頻回に声をかけて、おむつの中の感覚を意識させるように促し、おむつが濡れたと感じたらすぐに教えてもらえるようにお願いしましょう。

ステップ3・4は、排尿前に知らせてもらうための準備段階です。おむつが濡れていると伝えられたら、「よかったね」などと共に喜びを分かち、さらに、次回は尿意を感じた時点で伝えてもらえるようにお願いしましょう。

ステップ5は、おむつを外す2歩手前です。尿意や便意を感じた時点で伝えてもらえたら、おむつを外してトイレへと誘導。そうすることで、音を立てて排尿・排便をする喜びを取り戻せるはずです。

ステップ1~5の状態で、3時間前後ほどおむつが濡れていないという場合は、本人が排尿・排便をコントロールする良い機会です。たとえ本人が尿意や便意を感じていないとしても、おむつを外してトイレへと誘導し、自分で排泄できるように促してみましょう。

ステップ6は、完全におむつを外せる1歩手前。この段階で排尿前に伝えられなかったとしたら、逆にその原因を探ってみてください。必要に応じて、ステップ1~5へと戻って対応するケースもあります。

ステップ7まできたら、おむつを外しての生活へと移行しましょう。自力での歩行が困難でなければトイレを利用してもらい、それが難しい場合は尿器や便器、ポータブルトイレなどを活用するなど、要介護者の身体機能に合わせた排泄ケアを行うようにしてください。



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