認知症でなくても高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられる社会であることが大切です。とくに認知症の人は新しいことを記憶するのがしにくくなりますから、住み慣れた環境での生活が、心理的な安定をもたらし、症状の緩和につながります。また介護施設や公的サービスが受けられる時間帯には限りがありますから、それ以外の時間は家族が中心になって介護をすることになりますが、それにも限界があります。地域で見守っていくことができる環境を作ることが望まれます。
地域内の連携が大切です
認知症の人やその家族を支えることのできる社会とはどのような社会でしょうか。それは誰もが認知症について知識をもっていることが前提になります。そのためにも、地域において認知症にたいする理解を深めることが大切です。「認知症は特別な病気ではなく、誰にでもなる可能性があること」を知ってもらう機会を設けましょう。認知症に対するセミナーや専門医による講演会など、啓蒙活動も大切です。
次に、地域における資源(施設、人など)を見つけ、ネットワークを作りましょう。そのネットワークは保健・医療・福祉・介護の専門職の人によるものとは限りません。認知症のサポーターになってくれる店舗、美容院、図書館など、「身近な人が身近なところで」認知症に人を支えるネットワークに繋がっていることが大切です。
ネットワークを構築している先例から学びましょう
ネットワークを作るといっても何からどうすればいいのか判らないですね。まずは自分の地域を分析してみましょう。中心となれる病院はどこか、連絡の中心となる施設はどこか、人的には足りているのかなど考えてみましょう。
同時に、ネットワークを構築している先例を探し、どのようにして構築したのかを学びましょう。自分の地域との違い、共通点などを洗い出し、同じ方法が採れるところは実行します。異なっている点については独自の方策を考えましょう。
「課題の発見・整理と共有」「認知症に関する啓蒙と啓発活動」「地域住民による支援」「病院による医療面のサポート」「本人・家族への支援」の5つの柱で支援システムを考えると構築しやすいと思います。