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要介護者を脱水症状にさせないために水分の補給と排泄の仕組みを知ろう

水分の補給と排泄でバランスをとる
 人間の体は、補給と排泄という動きで体内の水分のバランスをとっています。健康な成人であれば、1日に約2400 mlもの水分が体を出入りしており、補給と排泄のバランスをとることで体の機能を調整しています。しかし高齢者は、体内に蓄積する水分量が減り、逆に排泄量が増え…と、バランスが悪くなってきます。しかも、その感覚も鈍くなっているため、体の乾きを自覚することが難しいのです。普通、補給よりも排泄が多くなる場合には、筋肉に蓄積された水分で体内の水分量を調節するのですが、高齢者はそもそも筋肉量が少ないため、機能も不十分になります。そのため高齢者では、自覚症状がないままに脱水症状に陥ることも多く、幻覚を見るといった意識障害に発展することも少なくないのです。

1日の水の出入りは20003000 ml
 水分の補給は、主に飲料水と食事で行います。飲料水を1000 mlほど飲み、食物から1日1000 mlほどの水分がとれば理想的です。そうして直接とる水分とは別に、「代謝水」と呼ばれるものがあります。これは、吸収した栄養素が酸化される際に発生する水分です。大体1日に300 mlほどが代謝水として補給されています。直接の補給が十分な時にはあまり必要ないのですが、それが足りなくなった時に非常に有効な水分です。

対して排泄ですが、人間は本当に様々なかたちで水分の排泄を行っています。口や鼻の呼吸だけでなく皮膚呼吸でも水分は出ていき、呼気で300 ml、皮膚からは汗として500 mlもの水分が出ていっています。体の中に目を向ければ、胃液や膵液といった消化液は大腸で吸収されるため、便として排泄されるのは1日150 mlほど。また、体内の水分バランスに応じて尿が出るのが普通で、大体1日に1000 mlほどの尿が排泄されています。老廃物を体外に出すために、たとえ体内の水分量が不十分でも出る「不可避尿」というものもあり、これは1日に500 mlほど。

正常な状態であれば、人間の体を出入りする水分量は1日2000~3000 mlが標準的ですが、体調が悪くなれば吐いたり下痢をしたり、また発熱による発汗などでも水分は失われたりしていきます。体調不良の時こそ水分を多めにとり、体内の水分バランスをとることで脱水症状を回避しなければなりません。

脱水の初期症状とその対策とは
 約40億年前と言われていますが、生命が誕生した頃の海水の成分を見ますと、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどが主成分でした。その名残なのか、人間の体液もこれらのミネラルで組成されており、筋肉や神経の収縮などを司っています。それほど大切なものですから、人間は約60%が水分でできていますが、そのうちの10%でも失うと脱水症状を引き起こしてしまうのです。

脱水の初期症状としては、元気や食欲がなくなり、37℃くらいの微熱が出ます。人によっては吐き気をもよおしたり、皮膚が乾燥することもあります。初期症状は見抜きづらいこともありますので、「少し様子がおかしいな」と感じたら、まずはワキの下を触ってみてください。普通なら湿っているはずですので、乾いていたら脱水の初期症状と判断して水分を補給しましょう。

補給する水分は、何も水に限りません。お茶や牛乳などでも良いですし、昨今では電解質や糖分などでできるだけ体内の水分の成分に近づけた経口補水液という商品もありますので、そうしたものを利用しましょう。そもそも脱水症状を引き起こしている時は感覚機能もおかしくなっているため、水分を飲む気力も失せているかもしれません。水分を飲むのが難しかったり嫌がったりする場合は、ゼリー状のものや、夏場ならかき氷を食べさせるのも良いでしょう。それらも難しいようでしたら、病院で点滴を受けるといった処置も必要です。



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