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介護事故予防にはヒヤリハットの取り組みと活用がポイントになります

1つの大きな介護事故の前には、29の軽微な事故や介護ケアの失敗があり、その前には300のヒヤリハットがあるとされます。日常業務の中で生じているヒヤリハットを記録し活用することで、介護事故の予防・予測・回避が可能になると考えられます。

平成19年10月に神戸市介護サービス協会が入所系サービス事業所と通所系サービス事業所に、ヒヤリハット報告書に関するアンケート調査を実施しています。

アンケート結果によると、68.5%の事業所に専用のヒヤリハット報告書様式があり、事故報告書と兼用の事業所の28.7%とを加えると、97.2%の事業所でヒヤリハットの報告が行われることになっています。ヒヤリハットの報告基準や報告手順のマニュアルの有無については、65.7%の事業所がありとなっていますが、31.5%の事業所ではなしとなっています。マニュアルは必ずしも必要とは思われませんが、効率よく事例を溜めて行くには、基準や手順は最初は必要だと思われます。

ヒヤリハット報告書の提出について、必要な事例については自主的に充分提出しているという事業所が40.9%で、提出が不十分、ほとんど無いという事業所が56.3%と半数を越えています。報告書が準備されていても報告が行われなければ、また報告があっても活用されなければ意味がありません。ヒヤリハットの報告が少ないために、ミーティングノートに記入して話し合うことにした事業所があります。

事業所がヒヤリハットの報告が不十分な理由としているのは、①職員に報告が必要という認識が薄い:45.5%、②報告書を書く手間が面倒:39.0%、③評価が悪くなる:2.2%となっています。ヒヤリハットの報告が必要という認識が事業所全体に共有されていないことや、報告書の作成が業務への負担を増やしてしまうことが原因となっているようです。

評価が悪くなるという考え方は払拭されているようではあるものの、介護事故予防に必須の業務であり、介護ケアの質を向上させるための取り組みという認識を、誰もが持つ事はとても難しいものだということがわかります。

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出典:ヒヤリハット報告書に関するアンケート調査結果/神戸市介護サービス協会

図1は、介護サービス事業所のヒヤリハット報告基準に、介護ケアの環境、介護ケアの提供者、介護ケアの利用者の3つが持つリスクに属する要因別の該当項目があるかを確かめたものです。

誤薬のヒヤリハット項目が80.70%となっており、介護事故の報告でも誤薬が多くあることからも、介護ケアの専門職と言えども「人間は必ずミスをする」という言葉通りに、ヒヤリハットの頻度はかなり多いものとなっていると考えられます。服薬の種類と量が多い高齢者の介護ケアでは、2重チェックが必要だと考えられますが、限られたマンパワーの中では限界があり、根本的な解決を図るにはマンパワーの充実が必須であります。

このアンケートには、ヒヤリハットの具体的な事例と対応例が載せられており、介護ケアが提供されることによるリスクとその対応がどのようなものかが良くわかります。介護ケアの専門職として一度は目を通しておくとこれからの業務の参考になると思います。

ヒヤリハット報告書に関するアンケート調査結果(http://www.kaigo-kobe.net/houkoku/anke-to/hiyari.htm)



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