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入居見学時に施設を見るポイント「会計帳票の開示を求める」

施設へ入居する際のポイントを考えてみる際、「会計帳票の開示」というものも着目しましょう。

「会計帳票」とは何か
全ての事業者は、それを仕事として行っています。つまり、収入があって、支出があって、事業として成り立っている訳です。収入は主に、利用者や入居者からいただく介護報酬の一割負担分(介護度別によって違うもの)と、食費や居住費、またはその他の日用生活物品等の代金などの雑費や、ある場合には補助金などです。支出はもちろん人件費、これには、給与はもちろん賞与、または社会保険料や雇用保険料の事業主負担など従業者に関わる全てのものが含まれます。他にも水道光熱費や車両などの維持負担や燃料費、食事に用いる材料費、消耗・器具・備品等の費用などがあります。細かい話まで言えば、建物を立てた時に借入した借入金の返済額なども含まれてきますが、そこまでは把握しなくても良いでしょう。

なぜ大切か
では、なぜ会計帳票を開示してもらえるかどうかを確認する事が大切なのでしょうか。介護施設というのは、往々にして色々が不透明なところです。実際、虐待事件だとか死亡事故だとかが後を絶ちません。ですから、国の指針においても、透明性を確保するために出来る限り色々な事を公表する様に求められています。ただし、義務ではありませんので開示してくれなかったからと言って問題にしてはいけません。ただ、特に特養を運営する様な社会福祉法人であれば、社会に貢献するために税金が免除されるなどの優遇措置がとられている法人ですから、経営の透明性というのは非常に大切な点になります。なので、会計帳票を開示してもらえるというだけでも、その施設は情報をオープンにし、後ろめたい事が少ないのかもしれない…という判断の一つとなる訳です。

細かい事を言えば
実際、自分が対応した施設見学の方であっても、この様な事を求められた方は一人もいません。しかし、こちらから提案したり経営・運営状況について話を出すと、決して迷惑がる方は一人もいらっしゃいませんでした。なので、聞きたいけれど聞けない、というのが本音なのではないでしょうか。例えば、人件費率という言葉があります。これは、支出のうち、人件費の占める割合、つまり従業員に使っているお金の割合がどのくらいか、というものです。会計には、実際のお金の流れを表す資金収支計算書のようなものと、実際のお金は動いていないが固定資産の償却など事業を行う上での資産まで考慮した事業収支計算書や貸借対照表などがありますが、一例を挙げれば、資金収支計算書において、人件費の総額を総支出で割ってみると、人件費率が計算できます。この人件費率を50%以下に抑えている施設は、想像も出来ないくらいの経営手腕をこうじているのか、従業員へ使うお金をケチっている…つまり、例えば雇うスタッフの数を少なくしたり、基本的な給与を低く設定したりしている…という事になるでしょう。今、施設に入居された高齢者に、今まで暮らしてきた生活を継続出来る様な支援をするためには、10人程度を人グル―プと考えて各々には個室があり、小さな集団単位で生活する方法としてユニットケアというのが主流になっていますが、きちんとした小規模ケアを行うには、最低でも入所者2人に対し1人のスタッフがいないと難しい、と言われています。この人員配置を基準とすると、人件費率が60%を切るという事はほとんど無いと言っても良いでしょう。中には、入所者1.5人に対してスタッフ一人というかなり手厚い人員配置をしている施設もありますが、やはりその様な施設は、入所者の希望による外出や夜間の入浴など、生活の質をかなり高く確保する事が出来ます。ですから、人件費率を有る程度目安にする事は、事業主の、介護に対する姿勢の現れとも言えるのです。

ただし、入居見学で人件費率まで突っ込んでくる方がいらっしゃるとしたら、施設側のスタッフとしてみればかなりの要注意人物として記憶にとどまる事になるでしょう。でも、生活するのは大切な家族ですから、施設見学時の着目ポイントとしては一理あるはずだと思い、書かせていただきました。



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