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鼻チューブや胃ろうは、嚥下反射がない時の最終手段

嚥下(えんげ)反射とは?
 人間ののどの中には「咽頭蓋」と呼ばれるものがあります。これは、食べた物が気管に入らないようにするためのフタで、これが倒れることを嚥下(えんげ)反射と呼び、食べ物をスムーズに食道から胃へと送るために必要な反射です。食べ物を飲み込む時に呼吸ができなくなるのは、この反射が上手く作用しているためです。

しかし、高齢者では神経系が鈍くなっているため、嚥下反射が悪くなっている場合があります。すると食べ物が飲み込みづらいばかりか、むせたり、誤嚥(ごえん)を起こしたりして、最悪の場合には誤嚥性肺炎という病気を発生させてしまいます。

そうした事態を避けるために、嚥下反射が鈍くなっている高齢者は、鼻から胃までチューブを通したり、胃ろうという胃に穴を開けたりする方法で、そこから直接、栄養を補給することがあります。しかし、ここで注意したいことがあります。それは、本当に鼻チューブや胃ろうが必要かどうか、という判断です。

嚥下反射の有無は簡単にわかる!?
 鼻チューブや胃ろうをする前に、嚥下反射の状態を見る必要があります。もちろん医師や看護師によって確認もされますが、本人や家族、介護者によって確認することもできます。

嚥下反射の確認方法の一つが、咳です。わざとでも、咳ができれば嚥下反射はあると判断されます。例えば認知症や痴呆症といった病気のために「咳をしてみて」という指示が理解されないような場合は、酢などの刺激臭を嗅がせることで、咳が出るかどうかを見ることができます。

また、だ液を飲み込んでもらうのも、嚥下反射の確認方法の一つです。だ液を飲み込む際に、のどぼとけが動けば、嚥下反射があると判断されるのです。視認するだけでなく、実際にのどに軽く手を当てて、上下動があるかどうかを確認してください。

口から食べるのが何より大切
 嚥下反射があるにも関わらず、例えば片マヒを起こした程度で、「こちらの方が楽ですよ」などと言って、安易に鼻チューブや胃ろうを薦められることがあります。医療施設ではたびたび見かけられる光景ですが、これは決して望ましい対処とは言ません。確かに食べる方も介護者にとっても、介助が必要な場合は “楽”でしょう。しかしそれ以上に、口で食べないということはデメリットが大きいのです。

口から食べないことの大きなデメリットは、食事に対する喜びの喪失です。様々な刺激から遠ざかりがちな高齢者にとって、ある意味食事とは、生きがいとも言るものです。それが失われるのは、想像以上に辛いものとなるはずです。

また、口やのどを使わなくなるために起こる機能低下、だ液の分泌が少なくなることによる免疫力の低下も懸念されます。さらに認知症患者などでは、自分でチューブを抜かないように手を縛られることもあり、生きる気力さえ失ってしまうこともあるのです。

本来、鼻チューブや胃ろうを必要とするのは、ほんの一部の人に限られます。それは、延髄の嚥下中枢に障がいを起こしている球マヒの患者か、脳内の前頭葉の両側に障がいを起こしている仮性球マヒの患者です。嚥下障がいを起こすこれらの患者でも、特に重篤な症状の場合は嚥下反射が失われるために、鼻チューブや胃ろうといった栄養補給の方法が確かに必要です。しかし、それ以外のケースでは嚥下反射は残っているため、デメリットを避けるためにも、しっかりと口から食べることが大切なのです。

もちろん、医師や病院も、自分が楽になりたいからと言って鼻チューブや胃ろうを薦めるわけではなく、家族の負担や栄養管理といった面に対して慎重になるが故の提案です。しかし、口から食べた方が健康に良いのは明らかですので、もし、嚥下反射が失われていないにも関わらず鼻チューブや胃ろうを薦められた場合には、なるべく口から食べさせたいという旨を医師に相談すると良いでしょう。

片マヒのある人の食事介助方法とは?
 鼻チューブや胃ろうをする前に嚥下反射を確認するだけでなく、しっかりと食べ物を口から食べられるよう工夫をしてみてください。食事介助はもちろん、流動食やきざみ食、とろみを付けるといった方法も効果的です。それでも口から食べられなくなった場合に鼻チューブや胃ろうという方法を採ることになります。

口から食べるのが健康にとって良いことは間違いありません。そのため、完全に嚥下反射がなくなった場合を除いては、鼻チューブや胃ろうはあくまで、「ちゃんと口から食べられるようになるまでの一時的な措置」と考えることが大切であり、しっかりと食べられるようになるための日々の努力が重要だということを頭に入れておいてください。



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