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身体拘束は職場の総意と工夫で無くすことが可能です

介護保険制度の開始と同じくして、「身体拘束ゼロ作戦」が開始されました。身体拘束は、身体的虐待という認識を持ち、利用者のADL(日常生活動作)の低下だけで無く、QOL、尊厳の低下も引き起こす行為である事を確かめあう事が求められるようになりました。

身体拘束ゼロ作戦では、介護保険法で原則禁止されている11の具体的禁止行為を示しています。そして、緊急やむを得ない場合の対応について、3つの要件がすべて認められるときにだけ、例外的に身体拘束を認めています。例外的に身体拘束を行う場合には、施設全体で判断する事が必要とされ、サービス提供者には身体拘束に関する記録の作成が義務づけられています。

身体拘束ゼロ作戦で具体的な内容などが示されたとしても、現実にサービス提供者が取り組みを行わなくては、身体拘束がなくなることはありません。身体拘束をなくすための取り組みについて、国は5つの基本方針と3つのケア方針を示しました。

5つの基本方針は、①施設長、所属長をはじめとして、施設・病院が一丸となって取り組む。②施設全体で身体拘束の弊害を認識して、身体拘束をなくすことへの取り組みを議論する。③利用者の心身の状態をアセスメントし、ニーズを確かめて身体拘束を必要としない状態の実現のためのサービス提供、支援を行う。④事故の起きない環境を整備し、柔軟な応援態勢を確保する。⑤常に代替方法を考え、身体拘束は例外とするとなっています。

3つのケア方針は。①身体拘束を誘発する原因を探り、除去する。②5つの基本的ケアを徹底する(①起きる、②食べる、③排泄する、④清潔にする、⑤活動する(アクティビティ))。③身体拘束廃止を「よりよいケア」の実現へ向けるきっかけにするというものです。

身体拘束防止には、身体拘束は虐待であるという認識のもとで、個人の権利擁護はもちろんのこと、QOLや尊厳について、介護職員個人だけでなく、事業者全体で議論して、共通の認識を持ち取り組みを行う事が必要です。そして、身体拘束廃止をきっかけとして、事業者全体が5つの基本ケアに立ち戻って、質の高いサービス、支援を提供する取り組みを行う事が必要です。介護職員は、身体拘束防止を実現するためだけでなく、5つの基本ケア意識しながら、質の高いサービス、支援の提供を行う専門職としての中心的な役割が求められます。



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