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高齢者には怖い誤嚥性肺炎と嚥下機能や老化との関係を確かめましょう

嚥下機能とは食べ物を口の中から食道を経て胃に送り込む運動です

嚥下機能として普通に考えられるのは、食べ物を口腔から食道を経て胃に送り込む運動を指します。この運動は意識、無意識に舌、鼻咽喉、咽頭を動かして、食べ物を口腔から咽頭を経て食道に送り込む時には一時的に呼吸を止めて、食べ物を口腔とつながっている鼻腔や気管に入れないような動作を行っています。

嚥下運動について1983年にLeopoldが食べるという行為も含めて、摂食・嚥下行動をまとめた5段階の動作についての分類があります。

Ⅰ.先行期、認知期:食べ物を確認し、食べる量と食べ方を判断する
Ⅱ.準備期(随意運動・飲み込みの準備):食べ物を口に入れて咀嚼することによって食塊にする
Ⅲ.口腔期(随意運動):舌によって咽頭部(のど)に食塊を送り込む
Ⅳ.咽頭期(反射):食塊を咽頭部から食道に移動させる
Ⅴ.食道期(不随意運動):食塊を食道から胃に移動させる

この分類のうちⅠ~Ⅲまでは意識的な動作で、Ⅴは無意識的に行われる動作です。Ⅳも無意識の動作ではありますが、食塊が口腔(口)から咽頭部(のど)に入った瞬間に、食塊が鼻腔(鼻)や気管に入らないように、反射的に鼻咽喉や咽頭を閉鎖します。この時に鼻腔(鼻)から咽頭部(のど)、咽頭部から気管への気道は閉鎖されますので息は止まっている事になります。

老化は嚥下機能にどのように影響しているでしょうか

老化は嚥下反射、食べ物(食塊)を咽頭部(のど)から食道へ送り込む反射動作や、咳反射、誤って食べ物(食塊)が気管(声帯より下の部分)に入ってしまった場合に食べ物を気道から排出する反射動作が低下すると考えられていました。

近年の老年医学の研究成果から障害、疾病の見られない高齢者(健常高齢者)の嚥下機能には加齢は大きな影響を及ぼさないという結果が見られるようになて来ていることから、老化によって嚥下機能が低下するとは必ずしも限らないと考えられます。

嚥下機能の低下で起きる不顕性誤嚥は健康に重大な影響を及ぼします

肺炎は高齢者の疾病では代表的なものとなっており、高齢者の死亡率の中では第五位(平成23年度)となっており、この中で誤嚥性肺炎が1/2から1/3を占めていると言われます。誤嚥性肺炎は、気管の中に異物が入り込んでしまい、それを気管から排出する事が出来ず肺に入り込む事により起こります。

誤嚥と言うと食べ物が誤って気管(声帯より下部)に入ってしまう事を考えてしまいますが、食べ物が食事中に気管に入ってしまう場合を「顕性誤嚥」と言い、睡眠中などに唾液などが気管に入ってしまう場合を「不顕性誤嚥」と言います。

顕性誤嚥は食事中などに嚥下機能の低下や咳反射の低下などによって起きるものですが、不顕性誤嚥は障害や疾病の無い健康な方(健常者)にも見られる現象です。睡眠中には健常者にも不顕性誤嚥はわずかですが起きていて、誤嚥された唾液などは痰として排出されるために肺炎にはなりにくくなっています。

高齢者は嚥下機能が低下している場合が多いので、睡眠中の不顕誤嚥の量が多くなっていると考えられています。それに加えて咳反射や免疫力が低下してるために誤嚥性肺炎を引き起こし、一度引き起こすと繰り返すことが治癒が困難であったり、再発を繰り返すなどにより最悪の転帰に至る事となります。

顕性誤嚥も起こしてはならない、また防がなくてはなりませんが、不顕性誤嚥は睡眠中に知らず知らずうちに起きていて健康に重大な影響を及ぼします。不顕性誤嚥を予防、改善するには、口腔ケアを十分に行う事で「口腔内の細菌の量を減らす」ことや摂食・嚥下能力を維持・改善する事によって「誤嚥量を減らす」ことを行う事が必要となります。



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