障害の捉え方の変遷

障害というと、かつてはハンディキャップ(Handicap)と言っていましたが、昭和55年(1980年)にWHOがICF(国際生活機能分類)の前身となる国際障害分類(ICIDH)を発表したことによって、障害の捉え方は大きく変わる事になりました。

ICIDHは、障害を≪機能障害(Impairment)≫、≪能力障害(Disagilty)≫、≪社会的不利(Handicap)≫に分類しました。

ICIDHによると、疾患・変調(Disease or Disorder)が原因となって、生物レベルの≪機能障害(Impairment)≫が起こり、そのために個人レベルの≪能力障害(Disagilty)≫が生じ、その結果によって社会レベルの≪社会的不利(Handicap)≫が生まれると考えられました。

≪社会的不利≫を解消するためには、≪機能障害≫の解消は不可能であっても、様々な障害者支援の取り組みによって≪能力障害≫が改善・解消される可能性はあり、≪能力障害≫の改善・解消に従って≪社会的不利≫も改善・解消されると考えられました。

ICDHによって、Handicapと表現されていた「障害」という言葉が、Disabilityという表現に変わりました。

ICDHの概念は、障害の否定的な部分だけを取り上げているという批判が出て、WHOは平成13年(2001年)に、ICF(国際生活機能分類)を発表しました。

ICFもICDHの流れを汲むものなので、障害を3つのレベルに分類しているのは変わりませんが、障害の否定的な部分ではなく、肯定的な部分を重視するスタンスをとることから、生物レベルの≪機能障害≫を【心身機能・構造(Body Functions & Structure)】、個人レベルの≪能力障害≫を【活動(Activity)】、社会レベルの≪社会的不利≫を【参加(Participation)】と変更されました。

2014053001

<図1>ICFのモデル図(出典:ICFのモデル/厚生労働省)

ICDHからICFになることによって、障害を健康状態の変調・疾病により、【心身機能・構造】、【活動】、【参加】という3つの生活機能と、[環境因子]と[個人因子]の2つの背景因子の相互関係によって捉えることになりました。



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
障害者権利擁護のための法制度
障害者福祉制度の変遷と介護保険制度の関係
自立支援医療と補装具費の支給
障害者総合支援制度の訓練等給付などによる障害福祉サービス
障害者総合支援制度の介護給付による障害福祉サービス
障害者総合支援制度の障害福祉サービス利用の仕組み
障害者総合支援制度の仕組み
ICF(国際生活機能分類)と障害へのアプローチ
障害福祉制度とはどのようなもの
障害の捉え方の変遷

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。