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介護保険の財政支出で多く占めるのは施設サービス利用者の費用となっています

介護保険の財政は、第1号被保険者と第2号被保険者の保険料と税金が、介護保険の収入となっています。介護保険の収入のうち税金部分は、国、都道府県、市町村がそれぞれの負担割合に基づいて、各年度ごとに予算化した上で負担してます。

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<図1>介護保険の財政

介護保険の収入のうち第1号被保険者の保険料は、保険者である市町村が直接徴収を行う事となっており、原則として年金から天引きしています。第2号被保険者の保険料は、第2号被保険者が加入している医療保険の保険者が、医療保険の保険料と一括して徴収しています。

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<図2>介護保険の被保険者

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<図3>保険料徴収の仕組み

介護保険制度が始まった平成12年(2000年)年度と平成25年(2013年)年度とを比較すると、第1号被保険者の保険料は、月額・2,911円だったものが4,972円と約1.7倍になり、介護保険の総費用は、3.6兆円から9.4兆円と2.6倍となっております。

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<図4>介護費用と保険料

介護保険が始まった時に、既に第1号被保険者の保険料が月額・5,000円を超えるのは大変なことであり、そのために調整交付金が設けられ、第1号被保険者の負担の軽減と平準化を図ったと言われていました。介護保険が始まってから、介護保険料は4回見直され、現在では全国平均が4,972円となっており、保険者(市町村)によっては5,000円を超えているところもあると考えられます。

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<図5>調整交付金

第1号被保険者の介護保険料(全国平均)は、これからも上がり続けることが予測され、被保険者の保険料負担の増加を抑えるために、如何にして介護保険の総費用を抑制するかが大きな課題となっております。

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<図6>サービス類型ごとの利用者と費用

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<図7>要介護・要支援認定者の推移

介護保険の費用を抑制するために、国が目論んだと思われる対策は、介護療養型医療施設の利用者ひとり当たりの総費用が突出しており、介護療養型施設の介護老人保健施設等への転換を図ること、要支援認定者の増加が要介護者の増加に比べると著しい事から、全国一律の基準で行われていた介護保険の給付対象から予防給付を外すことでした。

介護療養型医療施設の転換はまだしも、予防給付を市町村特別給付とすることは、現在でも保険者ごとに異なる介護サービスの提供・給付の体制が、一層の格差を生むことになる恐れがあり、介護給付の公平性をさらに欠くことになると考えられます。

<出典>

図1~6:公的介護保険制度の現状と今後の役割/厚生労働省

図7:平成24年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント/厚生労働省



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