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これからの3年間の介護保険制度と地域包括ケアシステムには要注意です

介護保険は、老人福祉制度と老人保健制度を一つにまとめて、高齢者を社会で支える仕組みとするという事で、平成12年(2000年)に始められて14年が経ちました。介護支援専門員が行うケアマネジメントにより、多くの社会資源が高齢者の介護ケアのために活用され、利用者に添った質の高いサービス・支援の提供が図られるはずであり、介護支援専門員が中心となって、チームケアを行うことで多職種協働を図るということも行われるはずでした。

介護支援専門員が行うケアマネジメントが、フォーマル・インフォーマルなサービスを包括して行われる事が難しく、フォーマルな介護保険サービスにほぼ限定されて行わざるを得ない状況が続いたこともあり、増え続ける要支援者対策も兼ねて、地域包括支援センターが介護予防ケアマネジメントを要支援認定者に対して行う事となりました。

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<図1>介護保険制度の変遷(出典:公的介護保険制度の現状と今後の役割/厚生労働省)

地域包括支援センターの設置根拠となった地域包括ケアシステムは、本来ならば介護支援事業者と在宅介護支援センターが協働して取り組むべきものであったと考えられますが、何故か従来の制度や組織を充実させて生かそうとはせず、新しい制度を作り無駄な税金と労力と、関係者の困惑と疑問を生むような制度が、平成18年(2006年)から構築されることになりました。

地域包括ケアシステムが開始されてから8年が経ちました。地域包括ケアシステムが完成し、さらに充実が図られようとしているとは思われませんが、2025年を目指した介護保険制度の継続を目指すためと称して、新たな仕組みが論議されるようになりました。

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<図2>地域包括支援システム(出典:公的介護保険制度の現状と今後の役割/厚生労働省)

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<図3>介護保険制度の移り変わりスケジュール(出典:介護保険制度の改正案について/厚生労働省)

在宅医療・介護連携拠点が平成30年度(2018年度)までに全ての市町村に設置される事になる見込みです(平成26年5月現在)。

介護保険が始まる前から、在宅介護支援センターが中学校区に1つ整備されるという計画がありました。介護保険が始まったことで、在宅介護支援センターの位置づけが難しくなりましたが、地域での高齢者への支援を行う機関として存続しました。地域包括支援センターの設置が行われる事により、在宅介護支援センターが移行したものもあれば、廃止となったところもあるようです。

在宅医療・介護連携拠点が設置されることにより、地域包括ケアシステムはどのようになって行くのか、在宅介護支援センターと同じような運命をたどるのか、介護支援専門員はどのような役割と立場に立つことになるのかはわかりませんが、同じような役割と立場の組織や職種が増えるばかりであることだけは予想が付きます。

介護保険のケアマネジメントに基づき、介護ケアのサービス・支援をケアチームの協働で行ってゆく介護職は、どのように仕事をしてゆく事になるのか、これからの3年間は制度の移り変わりに厳重な監視と注意が必要だと思われます。



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