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介護保険制度の未来は4回目の見直しの結果で大きく左右されると考えられます

介護保険制度は、平成27年(2015年)の4回目の見直しに向けて、介護保険法の改定案(医療・介護総合推進法案)が審議されて、平成26年5月15日に衆議院で可決されました。

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<図1>介護保険法(医療・介護総合推進法案)改定案概要

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<図2>施行期日

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<図3>医療・介護の改革

介護保険制度の充実よりも、医療制度の充実が目的と思われる法律案で、消費税増税分は、基金を設置して介護事業へ向けられるというよりも、医療事業に充てられるように見受けられます。介護保険法の改定は、地域支援事業への予防給付(訪問介護・通所介護)の移行を、多様化という名目で切り離しを目論見、費用負担の公平化という名目で利用者の負担額を増額することも目論んでおります。

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<図4>医療・介護サービス提供体制(改革後の姿)

介護保険制度が始まって14年が経っても、医療・介護サービスの提供体制を改革しなくてはならないとは、「社会で高齢者を支える」ために介護保険制度は創設されたはずですが、その目的は未だ達成されるにはほど遠い状況ということなのでしょう。

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<図5>介護保険制度の主な改訂内容

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<図6>生活支援サービスと高齢者の社会参加

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<図7>予防給付の見直し

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<図8>地域支援事業

介護保険制度の改定の一番の目玉は、介護予防給付の訪問介護と通所介護を介護保険事業から地域支援事業へと転換によって、介護保険の目的とする「高齢者が住み慣れた地域での自立した生活を維持する」一番の対象者と言える要支援者を切り離してしまうことにあります。

要支援者はケアマネージャーから地域包括支援センター職員へ、さらに生活支援サービスコーディネーターへと担当者がころころと変わることになると思われましたが、ケアマネジメントは地域包括支援センター職員や市町村が実施することになっており、生活支援サービスコーディネーターは、何処で何をする職種?なのか、謎は深まるばかりであります。

介護保険制度の4回目の見直しで、新しい介護保険制度が図に描かれたとおりのものとなるとは、これまでの見直しと同様に望み薄と言わざるを得ません。日常生活支援総合事業への移行について、実施主体である市町村は、日常生活支援事業への移行に消極的と見受けられるなど、ます。活用できる社会資源が整備されておらず、整備への取り組みすら出来ていない状況であるためと考えられます。

障害者支援制度の支援費制度は、わずか3年で障害者自立支援法に移行しました。新しい介護保険制度も支援費制度と同じように、介護保険創設時に唱えた「社会で高齢者を支える」という理念からさらに離れるような制度に、名前は変わらずともこれ以上ならないように願いたいと思います。

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<図9>介護保険をとりまく今後の状況

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<図10>介護保険関連人口の推移

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<図11>介護給付と保険料の推移

図・出典:介護保険制度を取り巻く状況/厚生労働省



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