トップ > お役立ち情報TOP > 介護における尊厳の保持・自立支援 > これからの介護保険制度と介護予防の行方

これからの介護保険制度と介護予防の行方

介護予防というと一般的には、自立の状態を維持すること、健康寿命を延ばすことなどが思い浮かびますが、介護保険の介護予防は、高齢者が要介護・要支援状態になることの予防と要介護・要支援状態になった場合にその状態の軽減や重度化予防を目的としています。

社会保障審議会 介護保険部会・第51回(平成25年10月30日)の資料には、生活機能(ICF)が低下した高齢者に対して、リハビリテーションの理念を踏まえて、心身機能の改善だけを目指すのではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促し、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して、QOLの向上を目指すことも目的としています。

国が定義している「介護予防の理念」は、介護保険で言われ続けている理念とどこが違うのか良くわかりませんが、この理念を果たすために、いろいろな問題点があり新しい考え方が必要だと国は考えています。

これからの介護予防の考え方・・・

①要介護状態になっても、生きがい・役割を持って生活できる地域の実現を目指す

②高齢者を生活支援サービスの担い手として、支援を必要とする高齢者への対応を行うとともに、担い手にとっても地域の中で社会的役割を持つ事によって介護予防にもつなげる

③住民自身が運営する体操の集いなどの活動を展開することで、人と人とのつながりを通じて参加者や通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進する。

④ このような介護予防を推進するためには、地域の実情をよく把握し、かつ、地域づくりの中心である市町村が主体的に取り組むことが不可欠である。

公的介護保険制度のサービス、支援から要支援者を除くことを検討しています。そして、新たに生活支援サービスという事業を行うこととし、生活支援(介護予防)は地域住民や高齢者が担い手になる。そして、その責任は市町村という考えが明らかになっています。これが、介護保険が目指す、住み慣れた地域で能力に応じた自立・自律した日常生活を送る事という事であります。

「新しい介護予防の考え方」で行われる制度改正が実施されるには、新しい介護予防事業が要支援者だけでなく、その他の一般高齢者への十分な支援体制を整えることが必要となって来ます。今の介護保険制度でも十分な社会資源の確保と協働が行われているとは思えませんので、支援体制を整えるのはとても困難だと思われ、拙速な実施は、多くの人々が要介護となってしまう事につながると懸念されます。

出典:社会保障審議会 介護保険部会(第51回) 資料1 平成25年10月30日より

202303



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
介護事故はいつでもどこでも起きるものです
これからの介護保険制度と介護予防の行方
介護予防には日常生活の活動性を高める介護のサービス・支援が必要です
介護予防は生まれる前から始まっています
重度化防止は高齢者、家族のために取り組まれるものです
重度化防止は介護保険制度の主要な柱です
介護サービスの限界(壁)は個別性の尊重で可能となります
個別性を尊重しながら介護サービスは一定水準の提供をします
動機付けと自立に向けた介護
欲求を知り動機付け(モチベーション)を高める介護

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。