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介護予防は生まれる前から始まっています

ヒトの一生は、生まれてから死ぬまでの時間を寿命、その間の時間の経過を加齢と言っています。ヒトが加齢による成長に伴い成熟した後に、加齢に伴い衰退して行くことを老化と呼びます。老化には、加齢により生じる生理的老化と、加齢により生じる事の多い疾病に伴う病的老化があります。ちなみに、発達はヒトの一生にわたる心身の成長だけでなく老化も含めます。

ヒトの成長にも個体差があるように、老化にも個体差があります。ヒトは成熟期を迎えると、その後は老化が見られるようになりますが、個体差はまちまちで、心身の機能が全体的に老化の方向に向かい始め、誰もが老化を感じるようになるのは、40歳を過ぎたあたりからと言えましょう。介護保険制度の第2号被保険者や老人保健制度の対象が40歳以上というのは、心身の機能が全体的に明らかに老化の方向に向かい始める年齢を対象にしたと考えられます。

最近、注目されている介護予防にかかわりのある指標に、「健康寿命」があります。「健康寿命」とは、WHOが定義したもので「ひとの一生のうちで日常生活に制限のない期間」を意味します。疾病によって一時的にでも日常生活に制限が生じた場合には、その間は健康寿命の期間から外され、再び制限が解消された時から健康寿命は加算されます。

平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味します。我が国の平均寿命と健康寿命の差は、平成22年で、男性9.13年、女性12.68年となっています。国は、「平均寿命の延伸に伴い、健康寿命との差が拡大すれば、医療費や介護給付費を消費する期間が増大することになる」としています。そして、「疾病予防と健康増進、介護予防などによって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できる」としており、重度化防止と同様に介護予防もまた、社会保障負担の軽減を目的としています。

介護予防は、健康寿命の延伸を目指すものとも言えますが、多くは生理的老化という始まりはゆっくりとした、そして目に見えにくいものへの対応となり、何歳から始めたら良い、効果的というものでは無いと考えられます。老化は加齢という連続的な時間経過に伴うものですから、考え方によっては、加齢の始まる時から介護予防に心がけた生活を送る事が必要となります。たとえば、歯の健康が健康寿命を延ばすにはとても大切だと言われていますが、永久歯のもと(歯胚)は胎児期に出来ていますので、生まれてくるときには永久歯の健康(寿命)は定まっているとも考えられますので、介護予防は胎児期から、母体の健康から始まると言えましょう。

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