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自立は自律によって得られます

介護保険の目的は、介護保険法第一条に「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」と示されています。

介護保険は、介護保険制度によって、①要介護状態となった人々が尊厳を保持し、②その人々が有する能力に応じた「自立」した日常生活を営むことができるよう、③必要な保健医療サービスや福祉サービスの給付が行われることを目的としていると考えられます。

「自立」という事を考えると、まず経済的自立という言葉が浮かび、さらに社会的自立や身体的自立、身辺自立などという言葉が浮かんできます。そして、これらの言葉が意味する事は、他者からの援助を受けることなく、自らの認知、決断、行動等によって日常生活を過ごして行くことを思い浮かべます。

普通に自立という言葉で浮かぶ「自立」と、介護保険が示している「自立」とは、全くと言って良いほどに、意味が異なっているように感じられます。介護保険が言っている「自立」は、どこにも理解ができる説明がなくて、実際に介護・福祉に携わっていても、「自立」の考え方を介護保険に沿わせる事が難しく感じられます。

「自立」とおなじ読みをする言葉に、「自律」という言葉があります。この「自律」という言葉は、「自らを律する」ということで、行動を自らが選択し決定することを意味すると考えられ、行動を律する(コントロールする)ことはあっても、行動自体は含まれないと考えられます。また、「自立」は、「自律」あってのものだという考え方もあり、自立は行動を含んでいますので、自律は自立の中に含まれると考えられます。

介護保険の示している「自立」は、要介護になるまでは、「自立」していた人々が、介護が必要な状態(「自立」に欠ける状態)となった場合に、その人々が有する(「自立」に欠けた状態への対応を得るために「自律」)能力を活用して、自立に欠けた部分に対する対応を選択、決定し、それぞれの人の自律に従った日常生活を営むことと考えられます。

介護保険の自立とは、《(自律⊂自立)=自立》⇒⇒《(介護+自律+部分自立)=自立》⇒⇒《(介護+自律)=自立》と、左から右へと介護度が高くなっても、利用者の自律能力で介護保健制度を活用し、利用者が求め、必要とする自立が続けられることだと考えられます。利用者それぞれの自律能力で介護を活用し続けるには、QOLを高め、尊厳を支え、エンパワメントを達成するために、質の高い介護サービス、支援を提供することがケアマネジメントのメンバーとして介護職にも求められます。

202101



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