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要介護・要支援認定の仕組みはどのように変遷して来たのでしょうか

要介護認定システムの開始は平成11年10月1日でした

要介護認定システムは全国一律の基準で調査判定を行うという謳い文句で、介護保険制度が開始される半年前の平成11年10月より運用が開始されました。平成12年4月1日に介護保険制度は開始されて移行期間がありませんので、その日から介護保険要介護・要支援認定に基づく介護保険制度のサービスが利用されることになりますので、半年間の準備期間を設けて介護保険要介護認定システムを稼働させる事になりました。

システムが稼働しても肝心の要介護・要支援認定の手続きが行われ、認定調査が実施されなければ意味がありませんので、システム本稼働と同時に要介護・要支援認定申請手続きも開始され、同時に認定調査、認定審査会も開始となりました。

要介護認定システムが稼働開始して疑問百出

いざ本格的に調査、認定が行われるようになると調査内容と一次判定結果との矛盾が次々と出て来るために、認定審査会は二次判定、要介護認定を行うにあたり悪戦苦闘を強いられてしまいました。新しい制度で誰もが取り敢えず認定を受けておこうと思われるために、申請件数がとても多くて審査会が十分な検討を行う時間がありませんでした。しかし、一次判定結果について疑問が生じればそれに検討を加えなければなりませんから、審査会はもちろん調査員にも多大な負担をかける事になってしまいました。

要介護認定に基づいて介護保険制度のサービス利用が可能となりますので、これまでの老人福祉制度、老人保険制度でのサービス利用が継続されなければならないという考え方が開始前にはありましたので、尚更一次判定が軽度に判定される事が多すぎた結果で認定審査会の負担は増大してしまいました。

そうは言っても新しい制度が開始される前から認定システムを手直しするという事など、国は考えるわけがありません。要介護認定が始まってまもなくから弥縫策を講じて来る始末で、介護保険認定システムはこのまま使い続ける事が妥当なのか、将来新しい適切なシステムが作られるのかという事を考えながら、平成12年4月の介護保険制度開始を迎えました。

介護保険制度が開始されるも要介護認定は落ち着かず

介護保険制度が開始されても要介護認定システムが変わる事はありませんので、審査会は要介護認定を行うために苦労を重ね続けていました。準備要介護認定が始まってから1年が経つ平成12年10月頃になると新規申請者よりも更新申請者が多数を占めるようになった事もあり、わずかながら認定審査会の負担は軽減されたように感じられました。

しかし、要介護認定システムに対する不満は要介護認定を受けた方からも噴出し、平成15年に早くも1回目の改訂が行われることになり、その前に「在宅高齢者調査モデル事業」が行われましたが、関係者の期待は高かったものの国からの結果の報告はもちろん、その調査がどのように扱われたかは全く公表されること無く、平成14年度の要介護認定モデル事業となり新しい要介護認定システムが構築されてしまいました。

新しい要介護認定システムでも要介護認定結果は疑問だらけ

ようやく要介護認定調査や要介護認定審査会の運用も安定してきたと思われた所での認定システム変更は、結果的に関係者の負担を増やし戸惑わせるだけの結果に終わってしまいました。システムが新しくなっても依然として一次判定結果と要介護認定申請者との状態の乖離は著しく、認定審査会での変更が行われることは依然として多いものでした。

認知症高齢者の実態が反映されない、全体として一次判定結果が軽度に出る傾向が見られるという状態が依然として変わらないために、一次判定結果に疑問が感じられる事例で樹形図を確認すると、旧認定システムの樹形図同様に正しい結果が出ないと思われる分枝ロジックがあちらこちらで確認されました。

あとでわかったことですが、認定システムの樹形図は汎用統計処理システムで出された樹形図結果をそのまま使っているわけですから、客観的なロジックで構成されていると言えはしますが、ロジックの設定ミスか予算が無かったのか、時間が無かったのか、何が原因かはわかりませんが信頼性、妥当性に疑問のある結果を検討もせずに使っているという事が感じられました。

その後の要介護認定システムでも基本は変わっていない

平成14年に改訂された後、認定調査テキストは2回改訂されましたが、1回は認定調査方法に問題があると判断されてわずか半年で再改訂を行わざるを得なかったものです。しかし、そのような事があっても問題の根本とも言える認定調査システムの基本的な構造は変わる事無く現在に至っており、システム外縁部は手が加えられていますが、樹形図の構築システムは変わる事無く使われていますので要介護認定システムの根幹は全く変わっていないと言えます。。

一番の根本となる認定システムの基礎データーとなる1分間タイムスタディは、モデル事業で失敗を繰り返しているためか在宅高齢者の調査は全く行われず、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設に入所、入院されている方を対象にしたデータとなっていますので、どこに在宅高齢者の実態が認定システムに反映しているのか、樹形図の基礎データには在宅高齢者が含まれていないという事は在宅高齢者の樹形図として信頼性、妥当性に欠けるものだと考えざるを得ません。



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