トップ > お役立ち情報TOP > 介護職員初任者研修 > -血管性認知症-昔はわが国の認知症のトップであったがアルツハイマー型認知症にトップを譲ったのが血管性認知症

-血管性認知症-昔はわが国の認知症のトップであったがアルツハイマー型認知症にトップを譲ったのが血管性認知症

血管性認知症(vascular dementia:VaD)は、脳血管障害(cerebrovascular disease:CVD)によって生じる認知症であります。脳血管障害(CVD)は、脳梗塞、脳出血などによって引き起こされるもので、梗塞や出血の範囲や量などによって、様々な症状が生じることになります。

血管性認知症は、NINDS-AIREN分類では、1.多発梗塞性認知症、2.認知症の発症に重要な意味をもつ領域の単一梗塞、3.小血管病変に基づく認知症、4.低灌流に起因する認知症、5.脳出血に伴う認知症、6.その他に分類されています。

≪血管性認知症の原因≫

●大血管病変や小血管病変に基づく脳梗塞

●高血圧性脳出血

●皮質下出血

●くも膜下出血

●白質病変

●低灌流

●脳循環不全

など

血管性認知症の典型的な特徴としては、脳卒中発作後に急性ないし亜急性に発症したり、脳卒中発作の反復に伴って階段状に症状が悪化するという経過が見られるとされてます。ビンスワンガー型白質脳症や多発梗塞性認知症の場合では、脳卒中発作が明らかではなく徐々に進行するものもあります。

≪NINDS-AIRENの診断基準≫

1.診断基準

1)認知症が見られる

2)脳血管障害が臨床像と画像診断から裏付けられる

3)認知症と脳血管障害との関連性が証明できる

2.血管性認知症の特徴

1)早期からの歩行障害

2)歩行が不安定で頻回の転倒

3)泌尿器疾患で説明困難な尿失禁などの排尿障害

4)仮性球麻痺

5)人格障害

6)意欲低下、抑うつ

7)情動失禁

など

3.血管性認知症らしくない症状

1)早期からの記憶・認知障害などの出現に対応する画像所見が得られない

2)局所神経徴候がない

3)画像診断で脳血管障害が確認できない

血管性認知症(VaD)とアルツハイマー型認知症(ATD)とは、認知症の中で対極的な存在として位置づけられて、二者択一的な診断が行われていて、脳血管障害を有する認知症のほとんどが血管性認知症と診断される傾向がありました。

現在の認知症に対する考え方には、≪脳血管障害を有するアルツハイマー病(AD with CVD)≫という概念が広く受け入れられるようになり、脳血管障害による認知症がすべて血管性認知症というわけではないと考えられるようになって来ています。

702207



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
認知症のBPSDのために行われる薬物治療の進め方とポイントとなる薬物治療検討のための4つの条件
認知症の治療は薬物治療を検討する前に認知症ケアやリハビリテーションの介入をまず考慮
認知症の鑑別診断で中心となるのは神経心理検査による診断で画像診断は補助的診断
認知症高齢者のいのちを保つため認知症の進行を抑止するためには心地好い口腔ケアが必要?
認知症高齢者の活動性低下を防ぐにはフレイルティ・サイクルを断ち切るのが一番?
認知症高齢者の低栄養の原因は認知症のために美味しく・楽しく・心地好く食事が出来なくなること?
-便秘-認知症の高齢者の便秘予防や対策に特に必要と考えられる4つの配慮
-脱水-高齢者が脱水症になりやすいのは若年者に比べると体内の水分量が不足して脱水になってるから?
-軽度認知障害-認知症の早期発見・早期治療のために期待されている軽度認知障害の有症率は11~17%
-特発性正常圧水頭症-原因疾患が特定出来ない60歳以上の高齢者に起きる正常圧水頭症

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。