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-アルツハイマー型認知症-神経系の変性疾患で65歳以上で発症が多くなるアルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症(Alzheimer-type dementia:ATD)は、神経系の変性疾患で、発症の原因は未だ明確にはなっていません。ATDの症状が生じるまでの経過は、①遺伝的要因、環境要因が原因となり、②Aβ(アミロイド・ベータ)タンパクの蓄積や神経原線維変化が病因となり、③神経細胞数の減少や神経伝達物質の異常が出現し、④海馬、頭頂葉、前頭葉といった脳の萎縮が生じて、⑤記憶障害や巣症状、前頭葉症状が現れるという経過を辿ります。

ATDは、発症年齢は65歳以上が多く、80歳以上になると指数関数的に増大すると言われています。ATDの発症までの経過としては、Aβタンパクの蓄積が40歳代から少しずつ始まり、長い時間経過の後にAβタンパクの蓄積が進むに従って、50歳代になると神経原線維変化や神経細胞数の減少が徐々に引き起こされます。さらに神経変性が進むことによって、65歳を超えると軽度認知障害(MCI)を経てATDに移行すると、多くは考えられます。

ATDは、家族性アルツハイマー病の発症もあることから、特定の遺伝子が関連していることは明らかになっているものの、通常は孤発例なので、遺伝的要因は家族性アルツハイマー病とは異なり、多くの遺伝子がかかわっていると考えられています。

ATD発症に糖尿病が2倍のリスクを持つと言われており、また、脳内の血管病変がかかわりを持つと考えられていることから、生活習慣病の対策が血管性認知症だけでなくATD予防として重要である考えられるようになって来ています。ATD発症のリスクとなる危険因子には、頭部外傷の既往、低学歴、女性などが挙げられています。

認知症を疑う症状が見られた場合には、①生理的老化による物忘れを除外、②アルコール性健忘症候群やせん妄との鑑別、③うつ病による仮性認知症の除外、④身体疾患、脳外科的疾患の鑑別を行うことで、(1)アルツハイマー型認知症、(2)血管性認知症、(3)レビ-小体型認知症、(4)前頭側頭型認知症、(5)その他の神経変性疾患のいずれかの認知症であると鑑別した上で、ATD以外の認知症の特徴や各種検査結果を検討することによって、ATDの診断を行うこととされています。

702201



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