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7つの特徴で比べてみる<生理的老化>によるもの忘れと<病的老化>によるもの忘れ(認知症)

もの忘れには、加齢に伴う生理的老化によるものと、病的老化によるものがあります。生理的老化によるもの忘れは≪健康的≫なもの忘れであり、病的老化によるもの忘れの多くは、≪認知症≫によるもの忘れであります。

健康的なもの忘れは、加齢に伴う生理的老化によるものであり、誰にでも生じてくるものでありますが、個人によって現れる時期や現れ方、現れる程度は生理的老化の進み方によって様々なものとなっています。一方、認知症のもの忘れは、認知症の進行に伴って、もの忘れの程度も進んで行くことになります。

健康的なもの忘れと認知症のもの忘れとの違いは、もの忘れの自覚については、健康なもの忘れではありますが、認知症ではありません。また、理解・判断などの能力や日常生活などについては、健康なもの忘れではほとんど支障ありませんが、認知症では様々な支障が生じてくることになります。

≪もの忘れの違い≫

【認知症】

①原因:疾病

②もの忘れの自覚:なし(忘れたことを忘れる)

③記憶:ある体験による記憶のすべてを失う

④経験(体験)の喪失:あり

⑤もの忘れの程度:病状に従って進行する

⑥理解・判断などの能力:支障をきたすことになる

⑦日常生活:支障をきたすことになる

【生理的老化】

①原因:加齢

②もの忘れの自覚:あり(忘れてことを覚えている)

③記憶:ある体験による記憶の一部分を忘れる

④経験(体験)の喪失:なし

⑤もの忘れの程度:進行しない(加齢による個人差はある)

⑥理解・判断などの能力:支障をきたすことにはならない

⑦日常生活:支障をきたすことにはならない

もの忘れは、記憶の想起が難しくなることで、健康的なもの忘れの場合では、記憶の引き出しを開けにくくなったり、引き出しの鍵をどうやって開けるかが難しくなったものと考えられます。認知症の場合には、記憶の引き出しが失われたり、記憶の引き出しにたどり着くことが出来なくなったりしたものであると考えられます。

もの忘れが気になり始めたら、記憶の想起行為や記憶の保持行為について工夫が出来るうちは、まだ健康的なもの忘れであると思われます。記憶の想起が困難になってしまったり、記憶の保持行為が確かめられない場合や、忘れたことを忘れたりしてしまうようになった場合には、日常生活全般に支障が見られないとしても認知症や軽度認知障害(MCI)についての留意が必要であると考えられます。

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