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-健忘-健忘のうち50~60歳代に多く見られる一過性健忘の6つの診断基準

健忘とは、記憶の過程となる①記銘、②保持、③想起の機能の全てに、障害が生じてしまい、ヒトが体験・取得したエピソード記憶に障害が生じた状態とされています。発作が起きた期間の一部の経験を想起することが困難なものを≪部分健忘≫、全ての経験を想起することが困難なものを≪全健忘≫といいます。

健忘には、発作後に生じた出来事を覚え込むことが出来ないという、記憶の記銘障害が生じる【前向性健忘】と、健忘が発症する以前に覚えたことを思い出すことが出来ないという、記憶の想起障害が生じる【逆行性健忘】があります。

健忘を起こしても潜在記憶の障害は、一般的には目立つことはないとされています。潜在記憶のなかでも手続き記憶については、重度の健忘が見られても保たれると言われています。

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<図1>内容による記憶の分類

≪健忘を示す疾病≫

●脳血管障害

●頭部外傷

●脳腫瘍

●てんかん

●無酸素脳症

●一過性全健忘

●ウェルニッケ・コルサコフ症候群

●ヘルペス脳炎

●低血糖

●心因性健忘

など

健忘を示す疾患の中で一過性全健忘は、一過性の強い前向性健忘と、さまざまな程度の逆行性健忘が生じるもので、通常は24時間以内に元通りになるとされています。一過性のものであることから予後は良好ですが、発作中の記憶は戻らないことがあると言われています。

一過性全健忘は、発生頻度が5.2人/10万人の発生頻度で、病因が不明の50歳代から60歳代に多く見られる疾病と言われています。一過性健忘は、突然著しい記憶障害が生じるために、急な認知症の発症と思われたり、本人は一見普段と同じに行動しているように見えますが、「普段と違う状態が自分に生じている」という感じを持ち、当惑して同じ質問を何度もしたりすることなどが見られます。

≪一過性健忘の誘因≫

●精神的ストレス

●激しい感情

●激しい行為(労働、スポーツ)

●シャワー、入浴

●カラオケ

●嘔吐

●下痢

●胸部痛

●動悸

●咳嗽

●寒冷

●性交

●午睡

など

≪一過性健忘の診断基準≫

①発作中の情報が目撃者から得られる

②発作中、明らかな前向性健忘がある

③意識障害はなく、健忘以外の高次脳機能障害はない

④発作中、手足の麻痺、失語・失行のような神経学的異常はない

⑤発作は24時間以内に消失する

⑥最近の頭部打撲やてんかん発作はない

(Hodges・1990)

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