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-呼吸困難-温度差が呼吸困難の原因となることがあり高齢者では自宅内での室温差に注意

呼吸困難とは、「呼吸がしづらい」、「息が詰まる感じがする」、「空気を吸い込めない感じがする」、「息切れがする」などといった主観的な自覚症状のことをいいます。客観的に表現することが難しく、動悸や息切れ、胸部圧迫感(胸が締めつけられるような感じ)、胸部痛、不快感、倦怠感として、呼吸困難の症状が言いあらわされることもあります。また、呼吸困難が軽度の場合には、愁訴とならない場合もあります。

呼吸困難は、原因となる疾病と症状によって、急性呼吸困難と慢性呼吸困難とに分けられます。

≪急性呼吸困難の原因疾患≫

●呼吸器疾患:気管支喘息発作、アナフィラキシー、上気道閉塞、気道内異物、肺炎・細気管支炎、COPDなどの増悪、急性間質性肺炎、緊張性気胸、胸水(大量)、胸膜炎、一酸化炭素中毒、毒ガス

●循環器疾患:急性冠症候群、急性心不全(弁膜症、心筋炎)、非心原性肺水腫、致死的な不整脈、肺血栓塞栓症、慢性呼吸器疾患に伴う右心不全

●血液疾患:急性出血

●代謝疾患:糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症性アシドーシス

●腎疾患:糖尿病腎症に伴う肺水腫、急速進行性糸球体腎炎の肺障害

●中枢神経系疾患:過換気症候群、神経症性障害、心身症

≪慢性呼吸困難の原因疾患≫

●呼吸器疾患:慢性閉塞性肺疾患、肺リンパ脈管筋腫症、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、肺線維症、間質性肺炎、肺結核後遺症、じん肺

●循環器疾患:肺高血圧症、慢性心不全(心筋症、弁膜症)、狭心症

●血液疾患:貧血(消化管出血によるものを含む)

●神経・筋疾患:重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、ALS、進行性筋ジストロフィー

●代謝疾患:甲状腺機能亢進症

●腎疾患:腎性貧血

●中枢神経系疾患:脳炎、脳腫瘍、髄膜炎

呼吸困難を防ぐための日常生活での留意点としては、COPDの原因となる禁煙(受動喫煙の防止)や、気管支喘息などの原因であるアレルゲンとなるハウスダストの除去や対策を講じること、急激な温度差に曝されないように、屋外と室内、屋内の部屋ごとの温度差に注意することなどが必要と考えられます。

また、規則正しい生活習慣への取り組みや、適度な運動、食生活を行うことで、体力作りや筋力低下の予防、免疫・抵抗力の維持・増強を図ったり、日常生活で生じるストレス耐性を高めたり、ストレス反応への解消方法やストレスを蓄積させない方法を知ることも必要と考えられます。

呼吸困難が生じたときに必要とされる対応は、生活環境や生活習慣の見直し、食事摂取の配慮と工夫、水分の補給と口腔ケア、呼吸が楽になる姿勢や痰を楽に出す工夫、疲労回復と免疫・抵抗力などを得るために、質の高い睡眠を得るための睡眠環境の整備、呼吸困難への不安の軽減や、呼吸に負担がかからないコミュニケーションへの配慮と工夫などがあります。

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