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皮膚疾患で乾燥に始まって掻痒を起こす疾患には注意が必要です

皮膚は、表皮、真皮、脂肪層の三層になっていて、表皮には、外界からの刺激物質や病原微生物などの侵入を防ぐ生体防御の役割があり、体内の水分が蒸発することを防いでいます。真皮には、触覚、痛覚、温覚などの末梢神経や汗腺、血管などがあります。

加齢に伴う生理的老化により、表皮、真皮、脂肪層の細胞は減少して行きます。表皮細胞の減少により、生体防御や水分の蒸発を防止する機能などが低下し、皮膚は弾力を失い外界からの刺激に脆弱になったり、皮膚感染症に罹患しやすくなります。真皮の末梢神経が減少すると、皮膚の感覚が鈍くなり、汗腺が減少すると体温調節が出来にくくなります。脂肪層の減少は、気温の寒暖差が体内に影響しやすくなり、熱中症や低体温などになる危険性が大きくなると考えられます。

加齢による皮膚の変化には、生理的老化と考えられる「しわ」と「たるみ」、生理的老化から病的老化となる危険性が考えられる「乾燥」があります。皮膚の乾燥は、「乾皮症」というカサカサ肌の状態から、病的老化が始まります。

乾皮症を放置しておくと、皮膚のあちらこちらが痒くなる「皮膚掻痒症」や湿疹と痒みが出る「皮脂欠乏性湿疹」になることがあります。さらに悪化すると、貨幣(硬貨)のような形をした湿疹が出来て水疱が伴う「貨幣状湿疹」が出ると、痒みが強いために掻くことで、脆弱になっている皮膚に傷が付いてしまい、掻き傷に病原性微生物が繁殖することで化膿することもあります。

乾皮症はもちろん痒みがでてしまい、皮膚掻痒症や皮脂欠乏性湿疹となってしまった場合は、併存疾病がある場合には、主治医や皮膚科への受診などを行う事が好ましいと考えられます。

≪皮膚の乾燥・掻痒の対策≫

●エアコン、電気毛布、ホットカーペットなどの暖房器具の使い過ぎに注意する

●暖房を使う際には、加湿器などを使い乾燥に注意する

●熱いお風呂のお湯は、皮膚を刺激することになるので避ける

●入浴時の身体の洗い過ぎに注意し、石けんは低刺激の物に、ナイロン製タオルなど刺激の強い洗体用具は使わない

●手洗いでの手の洗い過ぎは、皮膚のバリアを取り去ったり、乾燥させたりすることになるので注意する

●濡れた身体や手などは、こすらずに叩くようにして水分を取る

●皮膚への刺激の肌着を選ぶ

●アルコールや香辛料は、皮膚の痒みを促進するので控える

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<図1>高齢者の痒みを伴う皮膚疾患(出典:高齢者の皮膚疾患について)

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