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生活習慣病は高齢者になるまでの生活習慣が影響する疾病であります

高齢者の介護が必要となる主な原因は、脳卒中、衰弱、転倒・骨折、認知症であり、これらの疾病や心身の状態に至る原因疾患の多くは、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病などの生活習慣病であると考えられます。

生活習慣病の多くは、以前は成人病(主として、脳卒中、がん、心臓病などの40歳前後から死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも上位を占め、40~60歳くらいの働き盛りに多い疾病)という行政の疾病対策上の概念(医学用語ではない)に含まれる疾病として扱われて来ました。

成人病は、加齢が原因とされて、疾病の早期発見、早期治療が効果的であると考えられて、そのために数々の対策などが講じられました。その後、成人病の発症に個人の生活習慣が深く関与していることが明らかになって、生活習慣の改善が成人病の発症・進行予防になることが広く認知される必要があると考えられるようになりました。

そして、生活習慣の基本は小児期にすり込まれると考えられることや、児童期にも成人病と同様の症状を示す症状を示す疾病が現れることなどが見られるようになりました。厚生省(現・厚生労働省)は、生活習慣に着目した疾患概念として、「生活習慣病」を、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義して、新たな概念として、1996年12月に提案・導入しました。

厚生省は、生活習慣病に含まれる疾病は、生活習慣と疾病との関連が明らかになっているものとしています。

食習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等

運動習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等

喫煙:肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫 歯周病等

飲酒:アルコール性肝疾患等

生活習慣病と成人病との関係は、成人病は≪加齢≫に着目した疾患群で、生活習慣病は≪生活習慣≫に着目していることから概念的には異なるとされています。

ただ、生活習慣病と成人病のいずれに含まれる疾病は、年齢あるいは生活習慣の積み重ねによって発症・進行する慢性疾患であります。生活習慣病と成人病との発症には、≪生活習慣要因≫だけでなく、≪遺伝要因≫、≪外部環境要因≫の複数の要因が大なり小なり関与するものと考えれることから、重複するものが多いとされています。

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<図1>疾病と様々な要因

「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」では、【疾病の発症には、「生活習慣要因」のみならず「遺伝要因」、「外部環境要因」など個人の責任に帰することのできない複数の要因が関与していることから、「病気になったのは個人の責任」といった疾患や患者に対する差別や偏見が生まれるおそれがあるという点に配慮する必要がある】としていることに、注目しなくてはなりません。

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