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意思決定機能の変化は作業記憶の老化が影響しています

意思決定機能の加齢による変化には、意思決定を行う過程での考慮のために必要となる情報の量が減少し、情報の質が低下してしまいます。感覚機能・運動機能の低下や社会的接触機会の減少により情報の量が減少し、視覚・聴覚などの感覚機能の低下によって情報の質が低下することになります。

情報の量の減少には、感覚機能・運動機能の低下や社会的接触機会の減少だけでなく、記憶機能のうちで意思決定場面で判断を行い、速やかに意思決定をするために作動する作業記憶の器が、加齢による生理的老化によって小さくなるだけでなく、不要の情報を捨てられなくなることが原因となると考えられます。

意思決定機能の変化には、意思決定の修正が必要になった場面での柔軟性が低下したり、激しい感情や心理的負荷の大きな場面での自制が困難になることが顕在化するようになります。

意思決定の修正に対する柔軟性の低下は、作業記憶の器が深くなるために、意思決定のための考慮に必要となる情報を、作業記憶から出し入れに手間がかかるために、注意の選択、持続、分割などの注意機能の低下や柔軟性が低下することが原因となると考えられます。

激しい感情や心理的負荷の大きな場面での感情表出の自制が困難になるという変化は、脳の器質の生理的老化だけでなく、社会的接触機会の減少などによる社会的構えの変化によるものと考えられます。

意思決定機能の生理的老化によって生じる変化には、高い認知能力が要求される方法を敬遠して、労力を要する面倒な方法を避けるような行動が見られるようになります。権威のある人の意見に同調したり、権威による誘導に乗ってしまったり、記憶力や判断力の低下や欠損を経験的な知識で補ったり、取り繕ったりするような行為が見られるようになります。

また、作業記憶の生理的老化による機能低下によって、全般的な情報解析機能が低下することになり、思考・判断の遅延が生じてしまいます。思考・判断の遅延は、意思決定が遅くなったり、用心深くなるといった行動の変化が見られることになります。

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