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運動機能の老化は脳やこころの機能の老化とも密接に関連しています

一般には、運動というと歩くことやスポーツなどを思い浮かべますが、ヒトの運動機能という事を考えると、歩くことやスポーツなどの行動を意味するとは考えられません。運動とは、「物体が、時間の経過とともに空間内の位置を変える現象」(大辞林・三省堂)と定義されており、「ヒトの行動や動作」を意味すると考えられます。

「健康長寿ネット(http://bit-url.info/1u6zkiv・Bitlyで短縮)」では、「運動機能をつかさどる骨、関節、筋肉は、年をとるにしたがってさまざまな老化現象を引き起こし、歩行能力の低下や日常生活動作の制限や痛み、筋力低下の原因となります」としています。

運動が「ヒトの行動や動作」であるとすれば、運動機能をつかさどるのは脳であって、骨、関節、筋は、運動機能を担っている組織・器官であると考えられます。運動機能を担っている骨、関節、筋の加齢に伴う変化は、痛みや筋力低下などの各器官・組織における病的老化によって、脳がつかさどる行動や動作といった身体活動の低下となり、ADLやIADLの制限、停止などの原因となると言えます。

運動機能を担っている運動器(効果器)である骨、関節、筋の加齢に伴う生理的老化は、身体活動の低下が引き起こされ、運動器の痛みや可動域制限、筋力低下などが病的老化として現れることで、さらに身体活動の低下が生じるという悪循環が起きることになりかねません。そのために、ADLやIADLの制限が生じることになり、QOLの低下が著しくなってしまいます。

運動機能の変化は、運動機能を担っている運動器の老化が引き金になっているとしても、そのために引き起こされた脳やこころの変化にも注意を払わなくてはならないと思われます。やっていること、やれること、やりたいことを知って、運動器機能の維持・改善だけでなく、脳やこころの機能の維持・改善にも取り組んで行かなければ、生理的老化⇒機能低下⇒病的老化⇒機能低下⇒・・・⇒機能停止⇒機能喪失という負のスパイラルを止めることは困難だと考えられます。

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