認知機能の変化には脳の前頭葉の老化が大きく影響しています

認知機能とは、外部からの情報を取り入れ（入力）し、脳で加工（処理）して、行動（出力）する一連の過程で、記憶する能力、時間や場所や人を認識する能力、計算する能力、読み・書き・話を聞き取り・しゃべる能力、いろいろな出来事の内容や類似点や相違点を理解する能力、道具や器具を使いこなす能力、物事の適否や状況を判断する能力などを意味します。認知機能は、概ね１８～２０歳までにほぼ完成に近づくと考えられます。

認知機能には、処理速度（情報を処理するスピードと効率）、作業記憶（ワーキングメモリー）、推論能力などが求められます。認知機能に関する課題の遂行は、処理速度、作業記憶は、加齢に伴ってほぼ直線的に低下して行き、７０歳以降は大きく下降します。

認知機能の要となる脳は、生涯にわたって学習をして、新しい知識を増やし続ける（取捨選択し知識を加える・保つ。リストラしながら新しい情報を得る・保つ）ことが可能である。脳が健康な状態を保ち続けられれば、生涯に亘って、認知機能は向上し続けることが可能とも考えられています。

脳は、生理的老化では、表面が全般的に萎縮するが、その層構造は変わらないことがわかっています。生理的老化による認知機能の変化は、主に記憶と前頭葉機能に現れると言われています。前頭葉の機能には、注意機能、抑制機能、作業記憶、実行機能、流暢性などの様々な認知機能の神経中枢があるとされている。

脳の生理的老化による認知機能の変化は、覚醒度などの基本的な注意機能には影響は見られませんが、選択的注意や注意の分割、聴覚性の注意変換などの注意機能には、明らかな生理的老化による低下が見られます。抑制機能も低下して、認知的な処理の最中に不適切な情報が混入しやすくなるために、老年者では間違いや勘違いが増加すると考えられます。

作業記憶は、ある情報を処理するために、情報を処理すると同時に、一時的に記憶として保持する能力で、ＰＣのＲＡＭやバッファとＣＰＵが合わさったようなもので、並行分散処理が行われていると考えられます。加齢に伴う脳の生理的老化により、つい先ほどの考えたり見たりした事を忘れてしまったり、順序立てて課題を遂行することや並行して課題を処理することが困難になると考えられます。

前頭葉は、系統発生的にヒトで最も発達した脳部位であるとともに、個体発生的には最も遅く成熟する脳部位であることから、加齢に伴う生理的老化によって、最も脳の中では機能低下が現れやすい部位と考えられています。

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