トップ > お役立ち情報TOP > 介護職員初任者研修 > 末梢神経機能の老化は60歳過ぎに転機があると考えられます

末梢神経機能の老化は60歳過ぎに転機があると考えられます

ヒトの心身の機能を司っている神経機能には、二つの神経系があります。二つの神経系は、脳と脊髄で構成される中枢神経系と脳・脊髄以外の末梢神経系に分けられます。末梢神経系は、神経繊維が出入りする中枢神経系の部位によって、脳から出入りする脳神経と、脊髄から出入りする脊髄神経に分けられます。

末梢神経は、末梢神経のニューロンがつながる組織によって、体性神経と自律神経の二つにも分けられます。体性神経は、骨格筋、皮膚、体表粘膜、筋膜、骨膜、関節を取りまく軟部組織につながり、自律神経は、内臓組織の平滑筋、心筋、腺、各組織の表皮粘膜につながります。

また、神経繊維を伝わるインパルスの向きによって、末梢の受容器から中枢神経系に向かってインパルスを送る求心性神経と、中枢神経系から末梢の効果器に向けてインパルスを送る遠心性神経に分けられます。

体性神経系の求心性神経は、ひとつひとつが末梢神経系に細胞体のある感覚ニューロンと言われる1個のニューロンで構成されていて、体性感覚神経(感覚神経)と呼ばれています。遠心性神経は、脳幹または脊髄内に細胞体がある運動ニューロンと言われる1個のニューロンで構成されていて、体性運動神経(運動神経)と呼ばれています。

自律神経系の求心性神経は、体性神経系の求心性神経と同様に、ひとつひとつが末梢神経系に細胞体のある感覚ニューロンと言われる1個のニューロンで構成されていて、内臓求心性神経と呼ばれています。遠心性神経は、2個のニューロンで構成されていて、細胞体の1つは脳幹または脊髄内にあり、細胞体のもう1つは自律神経節にあり、神経節でシナプスを形成してインパルスを中継しています。

加齢に伴う体性神経系の生理的老化では、感覚神経のインパルスの伝導速度が落ちるために、中枢神経系が生理的老化による変化が見られず、適切に情報を処理が出来たとしても、中枢神経系へのインパルスの到達が遅くなり、中枢神経系の処理が遅れることになります。運動神経のインパルスの伝導速度が落ちることにより、中枢神経系にインパルスが到達することで、中枢神経系から運動神経に発せられた効果器へのインパルスの到達が遅くなります。

体性神経系の感覚神経、運動神経のインパルスの伝導速度の低下は、中枢神経系の機能にかかわらず、刺激に対する反射や反応が遅くなってしまいます。ただ、体性神経系の生理的老化による神経伝導速度の低下は10%程度であるとされています。

末梢神経の生理的老化は、軸索を覆っている髄鞘が脱髄したり変性するためで、血流の減少や骨の過剰形成などが原因となっていると考えられています。また、運動神経のシナプスの襞の減少といったシナプス形態の変化が、神経伝達の効率を下げてしまい、伝導速度の低下だけでなく、筋力低下や筋萎縮の原因とされています。

末梢神経の生理的老化には、神経繊維や神経節細胞の減少もあり、その程度は受容器のタイプや場所によって異なります。脊髄の運動神経細胞数は、60歳を過ぎると明らかに大きな減少が見られることから、壮年期を過ぎて老年期に入ると、筋、運動神経細胞、シナプスそれぞれの維持にかかわる機能の可塑性が喪失される時期がある事を示していると考えられています。

601209



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
認知症のBPSDのために行われる薬物治療の進め方とポイントとなる薬物治療検討のための4つの条件
認知症の治療は薬物治療を検討する前に認知症ケアやリハビリテーションの介入をまず考慮
認知症の鑑別診断で中心となるのは神経心理検査による診断で画像診断は補助的診断
認知症高齢者のいのちを保つため認知症の進行を抑止するためには心地好い口腔ケアが必要?
認知症高齢者の活動性低下を防ぐにはフレイルティ・サイクルを断ち切るのが一番?
認知症高齢者の低栄養の原因は認知症のために美味しく・楽しく・心地好く食事が出来なくなること?
-便秘-認知症の高齢者の便秘予防や対策に特に必要と考えられる4つの配慮
-脱水-高齢者が脱水症になりやすいのは若年者に比べると体内の水分量が不足して脱水になってるから?
-軽度認知障害-認知症の早期発見・早期治療のために期待されている軽度認知障害の有症率は11~17%
-特発性正常圧水頭症-原因疾患が特定出来ない60歳以上の高齢者に起きる正常圧水頭症

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。