夜に眠らせようと努力する介護者の苦悩
夜間になかなか寝ることができず、逆に、昼間に眠たくなる生活を「昼夜逆転」の生活といいます。認知症の高齢者を介護している方にとっては、昼夜逆転の生活にお悩みの方がたくさんいらっしゃるかと思います。昼夜逆転の生活は、認知症の方自身にも、また、介護者にも悪い影響を与えるものですから、適切な対策をとる必要があります。昼夜逆転の生活を解消するための対策として、多くの方が、「認知症の方を夜間に寝かせよう」と考えます。無理やり寝かせようとしたところで、そうした努力が実を結ぶことはほとんどありません。あれやこれやと試した結果、介護者は疲れ果ててしまうこともよくあります。
夜間逆転の真犯人、「夜間せん妄」について
どれだけ努力をしても夜間に寝てくれない場合は、もしかすると「夜間せん妄」かもしれません。「せん妄」とは意識障害の一種で、「見かけは覚醒しているが、本人には幻覚や錯覚を見ている状態」のことです。せん妄状態の方は、一般的に「鬼のような表情」や「般若の仮面をかぶっている」という表現がされます。夜間にせん妄が起こることを「夜間せん妄」とよんでいます。深夜に突然、「誰かが襲いに来る!」などと騒ぎ出す方は夜間せん妄の症状をあらわしている可能性が高いです。
「夜間せん妄」への対処策
夜間せん妄の方は、一応、眠ることができていますので、寝かせようと努力しても効果はありません。睡眠薬を使用しても意味はありません。夜間せん妄の症状に対しては、「チアブリド」という薬が効果的であるといわれています。この薬は過剰な脳の活動を抑える効果をもっていて、夜間せん妄の発生を防ぐことができる薬です。昼夜逆転の生活の困り果てている方は一度、夜間せん妄に関する相談を病院でしてみることをおすすめします。夜間せん妄は適切な治療によって解決することができますよ。