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介護職員は介護事故ではない死亡事故と遭遇することもあります

介護職員が利用者宅に訪問した際に、利用者の応答が無かった場合には、利用者の安否確認を行わなくてはなりません。利用者がどのような状態にあるか、最悪の場合と最良の場合とを想定して、利用者宅の状況確認をすることになります。

利用者宅に到着して、利用者の応答を確かめた時間を確認した上で、利用者宅の玄関が施錠されているか、外出している様子は見られるか、これまでの在宅訪問時と異なる様子があるか、新聞や郵便物などの状況を確認します。利用者の心身の状況、日常生活習慣などを考え合わせて、緊急度を判断しながら介護サービス事業所の責任者に、訪問時の状況を報告します。

安否確認が必要となった場合のガイドラインを、介護サービス事業者は定め、介護事故と同様に緊急連絡網を利用者それぞれに整備しておく必要があります。安否確認が必要となった場合には、利用者宅を訪問した介護職員は、ガイドラインの手順に従って利用者宅の状況を介護サービス事業所サービス担当責任者に報告し、責任者の指示に従って次の手順に移ることになります。

利用者が介護サービスの利用を明らかに忘れての不在や、急な用件が生じて連絡が出来ない不在など、緊急度が低い状況と責任者が判断した場合には、①訪問日時、②訪問目的、③訪問者、④連絡の要否などを記した連絡票を、利用者が郵便受けなど、帰宅後に必ず郵便物などを確認する場所に、封筒に入れて残しておきます。

利用者の心身の状態、日常生活習慣や利用者宅の状況から判断して、明らかに安否確認の緊急度が高いと考えられる場合には、責任者がケアマネージャーや地域包括支援センター職員などのケアマネジメント担当の職員への連絡や家族などの緊急連絡先へ連絡を行って、担当職員や家族などの到着を待つことになります。

あくまでも利用者宅に入ったり、家屋の周囲から様子を見る事も原則としては、単独で行うことは避けなければなりません。施錠されておらず中の気配から、心身の状態の急変により救急搬送が必要な事態と判断されれば、家屋内に入る事もやむを得ませんが、その他の場合には万一の場合に、警察がかかわって来ることになり、その場合には単独行動を行うと、介護職員にとって不愉快・不利益な事態となる可能性があります。

訪問介護サービス、通所系サービスの介護職員は、介護事故と同様に安否確認もいつでもだれにでも起こり得ることと認知し、安否確認のガイドラインの作成と利用者の心身の状態などに応じた安否確認の必要性と、緊急時の対応手順、役割分担の共有が必要となります。

介護保険制度となり利用者と介護サービス事業者との間で、介護サービス契約が取り交わされる事により、利用者の安否確認は、介護サービス提供に際して行わなくてはならないと考えられる事から、状況によっては損害賠償請求が介護サービス事業者に対して行われる事があります。

2009年1月に釧路市で起きた要支援1の独居男性死亡では、訪問時に応答がなかったにもかかわらず、訪問介護予防サービス事業者と地域包括支援センターが医療機関や緊急連絡先への通報を怠ったために死亡した(検視の結果で、訪問介護員の訪問時には死亡していなかったとされた)として、遺族が介護サービス事業者と地域包括支援センターを運営している法人に対して2010年9月に損害賠償請求をしました。

介護職員は、介護事故の場合と同様に、緊急事態となった場合には、その場の判断と対応が求められます。基本的には安否確認のガイドラインに従うこと、または、責任者の判断に従うことになります。くれぐれも最悪の事態が想定される場合には、単独での行動は禁じ手である事だけは忘れてはなりません。



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