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-ハンチントン病-ハンチンチン遺伝子のCAG反復数によって症状が異なる常染色体優性遺伝性疾患

ハンチントン病(Huntinghton Disease:HD)は、わが国では10万人に0.1~0.38人の発症率で、欧米では10万人に3~7人の発症率となっている常染色体優性遺伝性疾患です。第4染色体短腕4p16.3のハンチンチン(huntingtin:HTT)遺伝子のCAG反復数に異常伸長が見られることが、HDを発症する原因とされている神経変性疾患であります。

HTT遺伝子のCAG反復数によって、CAG反復数26回以下が正常型アレル(allele:対立遺伝子)とされ、27~35回は中間型アレル、36回以上をHD発病型アレルと分類されています。HD発病型アレルは、CAG反復数36~39回が低浸透性HD発病型アレルとされ、40回以上を完全浸透性HD発病型アレルとされています。

HDの発症については、男女差はなく、平均発症年齢は35~44歳ですが、小児期から高齢期までの様々な年齢で発症が見られ、20歳以下の若年型HD患者、60歳以上のHD患者の割合は、それぞれ10%程度と言われています。生存期間の中央値は、発症後15~18年となっています。

低浸透性HD発病型アレルの場合には、症状が出ない場合があります。60歳以上での高齢での発症では、病状の進行は緩徐であり、精神障害や知的障害を伴わない軽度の場合があるとされています。優性遺伝であることからHD患者の親のいずれか(もしくは両者)には、HDを発症していなくともHD発病型アレルが存在することになります。

HDの症状としては、舞踏運動を中心とする不随意運動、精神症状が様々な程度で認められます。症状の現れ方や程度は、親と子の間でも症状は同じとは限らず、同一家系内でも一定ではありません。HDの精神症状は、記憶障害はアルツハイマー型認知症などと比べると比較的軽く、性格の変化や感情のコントロール障害などが主体となり、感情をコントロールし抑制する働きがあると言われているGABA作動性ニューロンの脱落が早期から見られるとされています。

HDの発症早期には、軽微な不随意運動と巧緻運動障害、遂行運動の障害、抑うつ症状や易刺激性、易興奮性、アパシー、脱抑制などが認められますが、HDの特徴とされる不随意運動は、神経質な印象や癖として見過ごされることがあります。

HDが進行して中期になると舞踏運動が明らかとなり、随意運動の障害が生じてきます。不随意運動は、舞踏運動だけではなくジストニアやアテトーゼ、ミオクローヌス、振戦が現れる場合もあります。さらに進行して後期に至ると、固縮や運動緩慢、歩行不能、発語不能、嚥下障害、全介助の状態となります。

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