トップ > お役立ち情報TOP > 介護ケアと介護事故 > 介護事故の原因は転倒が最も多く見られます

介護事故の原因は転倒が最も多く見られます

介護事故にどのようなものがあるのか、全国一律の事故報告基準が無いこともあり、全国で起こった介護事故の統計報告を確かめる事は出来ません。地方自治体は個々に介護事故報告を受けていますが、事故報告を公表している自治体はごくわずかとなっています。ここでは福岡市の介護保険事故報告(http://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/sesakusuishin/life/jikohoukoku.html)を引用資料とします。

jiko01

資料1:福岡市の介護事故原因(平成22~24年度事故種別表、平成24年度事故種別構成グラフ)

介護事故の原因について、福岡市の介護サービス事業所全体(資料1)では、平成24年度は①転倒、②感染症、③誤薬、④転落、⑤接触の順になっています。最も多い「転倒」が、二番目の「感染症」の約3倍の頻度で生じており、原因のおよそ40%を占めています。

高齢者の転倒の結果として生じる骨折は、高齢者に介護が必要となる一大原因であることは、今では誰もが知っている常識となっています。介護ケアが提供されている場面で、転倒が介護事故の一番の原因となっているという事は、介護ケアの提供場面という安心・安全と考えられている場所でも、介護ケアを行う職員が目を離したり、気を許したりした隙や目が届かない場所での転倒は、いつでもどこでも起こり得ることを示唆しています。

介護事故で3番目に多い「誤薬」は、高齢者が起こしやすい問題の一つとして、これも介護ケアにかかわる専門職の課題であり、いろいろな取り組みが行われています。介護職員がかかわる場面での「誤薬」というのは、起こりえないと思いますが、実際には少なからず生じているという事実があり、人間というのはミスをするもの、うっかり気を抜くと重大事故につながるということを教えてくれています。

jiko04

介護事故は、福岡市では在宅系サービスと施設・居住系サービスとを比較すると、1:4の割合で圧倒的に施設・居住系の事故件数が多くなっています。在宅系でも通所サービスや短期入所サービスの事故件数がおよそ80%を占めています。

介護事故は、在宅系のサービスのうち利用者の自宅で提供されるスポットでの介護ケアでは、感染症を除くとほとんど起こっていないと考えられますが、日中だけの滞在とはいえ通所介護での事故、通所介護サービスの事故が多いことは、高齢者の心身の状況に合わせた職員体制が取られているのか、通所リハと比べると「職員の違法行為・不祥事(ほとんどが個人情報の漏洩)」を除く事故件数の差が大きいことから、全介護事故の中で最も事故件数の多い介護老人福祉施設と共に、介護ケアの体制を検討が必要と思われます。

介護事故は、いつでもどこでも起こり得ます。たとえ設備がバリアフリーとなっていても、また、介護スタッフが付き添っていても起こっています。介護ケアがマンパワーを必要とする労働集約型の仕事で、介護職や介護ケアスタッフ以外の他のものでは代わりを務める事は出来ません。チームケアの大切さと、いつでもどこにでも介護事故となるリスクはあることを忘れてはなりません。



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
介護事故には個人情報の漏洩も含まれます
介護事故の回避にはヒヤリハットや介護ケアの標準化の取り組みが必要です
介護事故には利用者、提供者、環境が持つリスクがあります
介護事故の対応は初期対応が肝腎です
介護事故はいつでもどこでも起きるものです
介護事故の結果は骨折が最も多く見られます
介護事故の原因は転倒が最も多く見られます
介護ケアには介護事故のリスクが常にあります

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。