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介護職の専門性が問われていること

介護保険制度が開始されてから介護職員の数は、平成12年(2000年)には54.9万人だったものが、平成22年(2010年)には133.4万人となっています。平成22年10月1日現在の介護職員は、介護保険施設で33.9万人、居宅サービス等で99.5万人が介護職員として働いています。国は、平成27年度(2015年度)には、170万人前後、平成37年(2025年度)には、240万人前後の介護職員が必要と推計しています。

介護職員は、家庭奉仕員という家事援助を行う仕事として始まり、高齢化、核家族化などの社会状況の変化から、家事援助中心から身体介護中心へとその業務の内容が変わって行きました。介護保険制度が開始されて、制度の改定が行われて、介護職員の業務内容が一層身体介護中心となり、今後の改定では要介護認定を受けた方への介護サービス・支援の提供を中心とすることが見込まれ、さらに身体介護の比率が高くなると予想されます。

介護保険制度が始まるまでは、介護職員はパートタイムで家事援助が出来れば就労可能でありましたが、介護保険制度が始まってからは、「介護が必要な状態となっても、住み慣れた地域で能力に応じた自立・自律した日常生活を送ることを目指す」という制度の目的から、身体介護が出来なければ訪問介護サービスの訪問介護員として就労することが出来なくなりました。

介護職員は、現在のところ介護職員初任者研修を終了することで、訪問介護員として訪問介護サービスを提供する事が出来ますが、介護職員は、仕事の性質上から個人の日常生活に深く入り込まなくてはならず、心身の状況だけでなく、他人が知る事があり得ない個人情報を知り得る立場となります。そのために介護技術やプライバシーの尊重、守秘義務だけではなく、介護職員は介護の専門職として必要な知識、技能、態度、職業倫理などを習得することが求めらるようになりました。

国は、介護職員の資格については、研修による認定資格を廃止して介護福祉士に一本化する政策を行おうと目論んでいましたが、これからも増え続ける介護職員に対するニーズを、介護福祉士資格を取得する事を必須とすることでは対応できないと判断せざるを得なかったと考えられます。

介護職員の資格については、本館(実務コース)は3階建てとなっていて、別館(養成コース)から渡り廊下で3階につながっていると仮定できます。本館の1階に入るには初任者研修の終了という鍵が必要で、2階に入るには1階での経験を積んだ上で実務者研修の終了という鍵が必要となります。さらに、3階に入るには介護福祉士の試験に合格して鍵を得なくてははなりません。本館には屋上があり、3階から屋上には自由に上がる事が出来ます。ところが、屋上の上に新しく4階が建てられる事になって、認定介護福祉士という資格が得られないと、新しい屋上に上がる事が出来なくなる見込みとなりました。

介護職員の専門性について、研修制度の改廃の目まぐるしさや資格取得要件の変更とその延期に加えて、新しい資格が作られるなど、ニーズに対して量的に対応することが手一杯であったために、ニーズに対して質的に対応することが出来ないまま現在に至ってしまったことが、このような屋上屋を重ねるような事態を引き起こしていると考えられます。

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